(平成29年(2017年))

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◇日本の勲章制度(1月11日)

日本の勲章制度(1月11日)

 原則として春秋の2回叙勲が行われており、お問合せも多いので、簡単に日本の勲章制度について解説します。

 勲章には、菊花賞、桐花章、旭日章、瑞宝章、宝冠章及び文化勲章があります。瑞宝章は、かつてと異なり旭日章と同格とされ、勲章の種類の違いとされています。宝冠章は、従来女性に授与されていましたが、現在では、女性皇族や外国人女性に限って授与されることとされており、一般人が授与されることはなくなりました。文化勲章は、文化的功績の顕著な人に授与されるものであり、旭日大綬章等と同格に扱われています。文化勲章には文化功労者として年金が付与されるのが特徴です。

 最高勲章である菊花賞は、大勲位菊花章頸飾及び大勲位菊花大綬章の2等に分けられています。大勲位菊花章頸飾は、その名のとおり首飾りになっており、今上天皇が佩用(はいよう)されるほか、戦後は吉田茂、佐藤栄作両元内閣総理大臣が没後に授与されているだけです。大勲位菊花大綬章は、戦後、皇族のほか、歴代の内閣総理大臣の多くが没後に授与されていますが、生前に授与されたのは頸飾の受章者のほか中曽根康弘元内閣総理大臣だけです。菊花賞にのみ「大勲位」という勲等が残されています。

 桐花章は、桐花大綬章の1等だけです。かつては勲一等旭日桐花大綬章でしたが、勲等は廃止され、旭日章から独立しました。三権の長である内閣総理大臣や衆参両院議長などが生前又は没後に授与されています。

 旭日章は、旭日大綬章、旭日重光章、旭日中綬章、旭日小綬章、旭日双光章及び旭日単光章の6等に分けられています。従来の勲一等から勲六等までに対応していますが、勲等は廃止されました。また、かつてあった勲七等青色桐葉章及び勲八等白色桐葉章は、廃止されました。
 旭日章は、社会の様々な分野における功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた者に授与するものとされています。具体的な基準については、内閣総理大臣、衆参両院議長又は最高裁判所長官は大綬章、国務大臣、副大臣、衆参両院副議長又は最高裁判所判事は大綬章又は重光章、大臣政務官、衆参両院常任委員長等又は国会議員は重光章又は中綬章、都道府県知事又は指定都市の市長は重光章又は中綬章、市長又は特別区長は中綬章、小綬章又は双光章、町村長は小綬章、双光章又は単光章、都道府県議会議員、市議会議員等は中綬章、小綬章、双光章又は単光章、町村議会議員は双光章又は単光章などとされています。これに準じて、各種団体の役員や企業経営者などの基準も設けられています。
 このほか、 国際社会の安定及び発展、適正な納税の実現、学校教育又は社会教育の振興、文化又はスポーツの振興、科学技術の振興、社会福祉の向上及び増進、 国民の健康又は公衆衛生の向上及び増進、労働者の働く環境の整備などに寄与した者、環境の保全、農業、林業、水産業、商業、鉱業、工業、情報通信業、建設業、不動産業、金融・保険業、サービス業等の業務、弁護士、公認会計士、弁理士等の業務、新聞、放送その他報道の業務、電気事業、ガス事業、運輸事業等の公益的事業などに従事した者、公衆の福祉の増進に寄与した者のほか公益に寄与した者に授与されることとされています。
 
 瑞宝章は、瑞宝大綬章、瑞宝重光章、瑞宝中綬章、瑞宝小綬章、瑞宝双光章及び瑞宝単光章の6等に分けられています。従来の勲一等から勲六等までに対応していますが、勲等は廃止されました。従来は「勲○等瑞宝章」と呼んでいましたが、勲等の廃止に伴って旭日章と同様の名称が付けられました。また、かつてあった勲七等瑞宝章及び勲八等瑞宝章は、廃止されました。
 瑞宝章は、国及び地方公共団体の公務又は公共的な業務に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた者に授与するものとされています。具体的な基準については、各府省の事務次官は重光章、局長は中綬章、課長は小綬章などとされ、その他は、これに準じて定められるものとされています。
 このほか、学校において教育又は研究に直接携わる業務、各種施設において社会福祉に直接携わる業務、医療又は保健指導に直接携わる業務、調停委員、保護司、民生委員など国又は地方公共団体から委嘱される業務、著しく危険性の高い業務、精神的又は肉体的に著しく労苦の多い環境における業務のほか人目に付きにくい分野における業務に長年従事した者に授与されることとされています。
 特に警察官、自衛官、消防吏員、刑務官、海上保安官などには、危険業務従事者叙勲として、一般の受章者枠とは別に、瑞宝双光章又は瑞宝単光章が授与されています。

 宝冠章は、宝冠大綬章、宝冠牡丹章、宝冠白蝶章、宝冠藤花章、宝冠杏葉章及び宝冠波光章の6等に分けられています。従来の勲一等から勲六等までに対応していますが、勲等は廃止されました。従来は「勲○等宝冠章」と呼んでいましたが、勲等の廃止に伴って大綬章以外は花名等が付けられました。また、かつてあった勲七等宝冠章及び勲八等宝冠章は、廃止されました。先に述べたように、一般人が授与されることはなくなりました。

 文化勲章は、科学技術や芸術などの文化の発展や向上にめざましい功績のある者に授与されます。文化勲章に等級はありません。

 叙勲の章状のことを「勲記」と呼びます。勲記には、「日本国天皇は○○○○に○○○○を授与する 皇居において(みずから名を署し)璽をおさせる」と記され、勲記の中央に御名が署され、国璽が押印されています。ただし、御名が署されるのは、大綬章以上の勲章及び文化勲章に限られます。「国璽」とは、約9センチメートル四方の「大日本国璽」と記された印章であり、重光章相当以上の勲記では印刷ではなく実際に押印されています。「御璽」は、「天皇御璽」と記された印章であり、これとは異なります。さらに、内閣総理大臣及び内閣府賞勲局長が副署します。

 大綬章以上の勲章及び文化勲章は、宮中で親授式が行われ、天皇陛下自ら授与されます。重光章及び宝冠牡丹章は、宮中で伝達式が行われ、天皇陛下御臨席の下内閣総理大臣から伝達されます。中綬章以下の勲章は、所管大臣から伝達され、皇居で拝謁を賜ります。一部は、都道府県知事から伝達されます。

 ちなみに、栄典には、勲章のほか褒賞があり、紅綬褒章、緑綬褒章、黄綬褒章、紫綬褒章、藍綬褒章及び紺綬褒章の6種類があります。紅綬褒章は人命救助をした者に、緑綬褒章は社会奉仕活動をした者に、黄綬褒章は業務に精励した者に、紫綬褒章は学術芸術上の発明改良創作に関し事績著明な者に、藍綬褒章は公衆の利益を興し成績著明な者に、紺綬褒章は公益のため私財を寄附した者に授与されます。

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